兵庫県尼崎市は12日、市内に住む20~90代の男女10人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。いずれも軽症か無症状で、6人は30代以下だった。 尼崎事件(あまがさきじけん)とは、2012年10月に兵庫県尼崎市で発覚した連続殺人死体遺棄事件。1987年頃に発生した女性失踪事件を発端に、主に暴行や監禁などの虐待により死亡したとされる複数名の被害者が確認されている。報道では尼崎連続変死事件などとも呼ばれることが多い。, この事件の主犯格とされる主犯女Xは、少なくとも25年以上もの間、兵庫県尼崎市南東部で、血縁関係にない人物を多く集め、疑似家族を築きながら共同生活を営んでいた。そして、主犯女Xの周辺では、1987年頃に当時、主犯女Xと同居していた女性(A家母)が失踪したことを発端に、複数の不審死や失踪事件が相次いで発生していたが、長年にわたり、事件が表に出ることはなかった。, しかし、2011年11月に主犯女Xらに監禁されていた40代女性(F家長女)が監禁状態から抜け出し警察に駆け込んだことで、主犯女XがF家長女に対する傷害容疑で逮捕され、次いで、その女性の母親(F家母)の死亡事件が発覚する。さらに、この事件を端緒に捜査は進められ、2012年10月に別件(C家長男・C家母年金窃盗事件)で逮捕されていた従犯者が全面自供したことにより、ようやく一連の事件が明るみに出ることになった。, ところが、主犯女Xは、事件について多くを語らないまま、2012年12月12日に兵庫県警本部の留置場で自殺し、事件の真相解明は極めて困難な状況になってしまう。, 従犯者の供述をもとに、事件の捜査を続けてきた兵庫、香川、沖縄の各県警による合同捜査本部は[注 1]、2014年3月に解散し、捜査は事実上終結しており、確認された8名の死亡者のうち6名について、殺人や傷害致死の罪などで、主犯女Xやその親族など11名が起訴され[1]裁判前に自殺した主犯女Xを除き、10名に裁判員裁判が開かれた。また、現在も主犯女Xの周辺で3名の行方が判明しておらず、1名は主犯女Xによって死亡したとされるが遺体が発見されておらず、他2名については主犯女Xから逃れているため後に行方不明となっており公開手配されている[2]。, 数ある大量殺人事件の中でも逮捕、書類送検者の数が17名と多く、その中には被害者の子や姉妹といった親族も含まれていることが、この事件の大きな特徴の一つである。また、死亡事件以外に特筆すべき事柄として、些細な弱みにつけこんで威圧的に家族を支配する、いわば家族乗っ取り事件を主犯女Xが複数回起こしていたことも明らかになった。そこでは、多くの人々が、親族間同士での暴力を強要されたり、飲食や睡眠を制限されるなど虐待され、さらには、財産を奪われたり、家庭崩壊に追い込まれるといった被害を受けていたことも判明している。逮捕、書類送検者には、そういった事情により、主犯女Xに取り込まれ、疑似家族の一員となったり、否応なく、事件に関与せざるをえなくなったと思われる人物も多く含まれている。, A家母と子供3人が主犯女Xの実家を間借りして生活していたことがある。また1980年代中頃までに、再び家族4人で、主犯女Xらと共同生活を始める。, C家長男が主犯女Xの内縁の夫Qと中学の同窓生だったことが、主犯女Xと関わるきっかけになる。また、C家母の長女は高松市のD家に嫁いでいた, 当時、大手私鉄会社に勤めていたE家父が、主犯女Xのクレームに対応したことがきっかけ。E家母はF家母の次女。, (死亡、あるいは、その可能性が高いとされる事件、または2011年11月以降に起訴された主要事件), A家母は、2006年に長男(A家長男)の妻(主犯女Xの義理の妹P)による失踪宣告申し立てにより、1994年5月に66歳で戸籍上死亡扱いとされているが、主犯女Xの親族らの供述によると、A家母は1987年頃に、主犯女Xの自宅などで、家族らから暴行を受けて死亡し、尼崎市の海に遺体を遺棄された、とのことである[22]。, 2014年2月にこれらの供述に基づいて、遺体が遺棄されたとされる現場を捜索したが、発見には至らず、捜索は打ち切られた[23]。なお、この事件では殺人罪の公訴時効が成立していると思われる。, 後述のB家乗っ取り事件のさなかの1999年に病死しているが、死亡前には、親族らによる暴行や飲食制限などの虐待を受けていたとの話もある。, 2000年にB家親族らと主犯女Xによる窃盗事件が発覚した際に、この死亡に関しても捜査が行われたが、不審な点は見当たらなかったとして、事件化されることはなかった[25]。, 後述のB家乗っ取り事件のさなかの1999年に、当時軟禁されていた兵庫県西宮市のマンションから飛び降り自殺したとされる。主犯女Xにより行われていた「親族会議」の最中に、突然走り出し、飛び降りたとの証言もある。, 後述のC・D家乗っ取り事件のさなかである2003年3月に、主犯女Xの自宅マンションで、主犯女Xらにより、飲食制限などの虐待や暴行を受けた末に死亡したとされる。遺体は高松市のD家の家屋に隣接する倉庫の床下地中に遺棄された。死亡前の2003年2月頃には、D家の家でも、暴行や、虐待行為が確認されている[34]。2012年12月に逮捕者の供述に基づき、遺体が発見される。, この事件では、主犯女X、主犯女Xの義理のいとこ男性T(事件当時はまだいとこ関係ではない)、C家長男(被害者の長男)、C家次男(被害者の次男)、C家次女(被害者の次女)、C家孫(被害者の孫)、D家母(被害者の長女)、D家長女(被害者の孫)、D家次女(被害者の孫)ら9名が傷害致死容疑で書類送検されたが、傷害致死罪での公訴時効が成立しており、いずれも不起訴処分になっている[35][36]。, 2004年1月に主犯女Xの自宅マンションで、主犯女Xらにより、食事制限などの虐待や暴行を受けた末に死亡したとされる。遺体はC家母の家の床下地中に遺棄された。2012年10月に逮捕者の供述に基づき、遺体が発見される。, この事件では、主犯女X、主犯女Xの義理の妹P、主犯女Xの内縁の夫Q、主犯女Xの義理の長男R、主犯女Xの次男S、C家次男、D家長女(被害者の姪)、D家次女(被害者の姪)ら8名が傷害致死容疑で書類送検されたが、司法解剖で死因が特定できず、虐待行為の詳細が解明できなかったことから嫌疑不十分で、あるいは被疑者死亡により、いずれも不起訴処分になっている[37][38]。, 2005年7月1日に、沖縄県恩納村の景勝地「万座毛」の崖から、記念撮影中に転落死する。当時は事故として処理されたが、事件発覚後の捜査により、主犯女Xらから自殺を強要され、自ら飛び降り、死亡した疑いがあることが、明らかになっている。死亡の数カ月前から、主犯女Xらにより、執拗に自殺するよう迫られており、死亡前日には「お別れ会」まで開かれていた[39]。さらに、被害者には多額の死亡保険金がかけられており、被害者の妻(主犯女Xの義理の妹P)に、保険会社4社から計約7700万円が支払われた。また、被害者が名義上所有していた主犯女Xの自宅マンションの残りローン約3000万円も完済された[40]。, この事件では、主犯女Xの義理の妹P(被害者の妻)、主犯女Xの内縁の夫Q、主犯女Xの義理の長男R、主犯女Xの次男S、主犯女Xの義理のいとこ男性T、D家次女ら6名が殺人と保険金詐欺で逮捕、同罪で起訴されている。また、既に死亡している主犯女X、C家次男の2名が、同容疑で書類送検された[41][42]。, D家母は、後述のC・D家乗っ取り事件で、虐待を受けていたさなかの2003年8月に、共に虐待を受けていた元夫の助けで、単独での逃亡に成功し、その後、和歌山県のホテルで住み込み仲居の仕事をしていた。ところが、2007年末に車を購入するために住民票を移したことで、主犯女Xらに居場所を特定され、勤務先のホテルに現れた主犯女Xや娘らによって、尼崎に連れ去られてしまう[43]。, この事件では、主犯女Xの内縁の夫Q、主犯女Xの義理の長男R、主犯女Xの次男S、主犯女Xの義理のいとこ男性T、D家次女(被害者の次女)ら5人が、加害目的略取容疑で逮捕、同罪で起訴されている。しかし、主犯女Xの義理の妹Pと主犯女Xの同居人男性V(被害者の長女の夫)の2名も同容疑で逮捕されていたが、主犯女Xの義理の妹Pは同幇助罪での起訴、そして、主犯女Xの同居人男性V(被害者の長女の夫)は「従属的な立場だった」として不起訴処分(起訴猶予)になっている。また、既に死亡している主犯女X、D家長女(被害者の長女)ら2名が、加害目的略取容疑で書類送検された[44]。, 2008年11月、主犯女Xの孫を強く叱ったことで、主犯女Xの激しい怒りを買い、主犯女Xに暴行され、1週間ほど主犯女Xの自宅マンションのバルコニーにあった物置に監禁され、睡眠を制限されるなどの虐待を受けていたさなかに死亡したとされる[45][46]。遺体はC家母の家の床下地中に遺棄された。2012年10月に逮捕者の供述に基づき、遺体が発見される。, この事件では、主犯女Xの義理の妹P、主犯女Xの内縁の夫Q、主犯女Xの義理の長男R、主犯女Xの次男S、主犯女Xの義理のいとこ男性T、主犯女Xの同居人男性V、D家次女ら7名が傷害致死と監禁容疑で逮捕された[47]。しかし、監禁期間が1週間程と短期間だったことや、食事も与えられていたことに加えて、被害者には高血圧症や心臓肥大などの持病があり、「病死の可能性が高く、虐待行為で死期が早まったと言えない」などとして、逮捕者7名全員が、傷害致死罪については嫌疑不十分として不起訴処分になり、監禁罪のみで起訴されている。また、既に死亡している主犯女Xが傷害致死と監禁容疑で書類送検された[48]。, 2008年7月頃に夫(主犯女Xの同居人男性V)と一緒に主犯女Xのもとから逃亡したが、すぐに発見されて連れ戻された。そして、その懲罰として[49]、少なくとも断続的に2カ月以上もの間、主犯女Xの自宅マンションのバルコニーにあった物置で、主犯女Xらにより監禁されながら、飲食制限や暴行などの虐待を受け、2008年12月頃に死亡したとされる。遺体はC家母の家の床下地中に遺棄された。2012年10月に逮捕者の供述に基づき、遺体が発見される。, この事件では、主犯女Xの義理の妹P、主犯女Xの内縁の夫Q、主犯女Xの義理の長男R、主犯女Xの次男S、主犯女Xの義理のいとこ男性T、主犯女Xの同居人男性V(被害者の夫)、D家次女(被害者の妹)ら7名が殺人と監禁容疑で逮捕、同罪で起訴されている。また、既に死亡している主犯女Xが同容疑で書類送検された[50][51]。, 2008年3月に意識不明の状態で病院に運ばれ、急性硬膜下血腫と診断され、そのまま意識が戻ることがなく、2009年6月に肺炎で病死している。当時は事件性がないと判断されていたが、事件発覚後の捜査で、病院に運ばれる直前の2008年2~3月に、頭を強く揺さぶられるなどの暴行を受けていた疑いがあることが明らかになっている。, この事件では、主犯女Xの義理のいとこ男性T、D家次女(被害者の次女)、主犯女Xの同居人男性V(被害者の長女の夫)ら3名が傷害致死容疑で逮捕された[52]。しかし、D家次女(被害者の次女)、主犯女Xの同居人男性V(被害者の長女の夫)ら2名は「死に直結する暴行ではなかった」として不起訴処分になり、主犯女Xの義理のいとこ男性Tのみが同罪で起訴されている[44]。また、既に死亡している主犯女X、D家長女(被害者の長女)ら2名が同容疑で書類送検された[53]。, 2011年7月下旬に同居人とトラブルになり、それに激高した主犯女Xらにより激しく暴行され、主犯女Xの自宅マンションのバルコニーにあった小屋に閉じ込められ、飲食を制限されるなどの虐待を受けながら、数日後に死亡したとされる。遺体はドラム缶にコンクリート詰めにされ、最終的に岡山県の海中に遺棄された。2012年10月に関係者らの証言に基づき、遺体が発見される。, この事件では、主犯女X、主犯女Xの義理の妹P、主犯女Xの内縁の夫Q、主犯女Xの義理の長男R、主犯女Xの次男S、主犯女Xの義理のいとこ男性T、主犯女Xの同居人男性V、D家次女ら8名が死体遺棄容疑で逮捕、同罪で起訴された[54]。さらに、殺人と逮捕監禁容疑で、主犯女X、主犯女Xの義理の妹P、主犯女Xの内縁の夫Q、主犯女Xの義理の長男R、主犯女Xの義理のいとこ男性T、主犯女Xの同居人男性V、D家次女ら7名を逮捕するが、主犯女Xはその後に自殺したため、被疑者死亡で不起訴処分になり、それ以外の6名が同罪で起訴されている(死体遺棄罪で起訴された主犯女Xの次男Sは、死亡前後、岡山県に滞在していたため、死亡事件への関与は認められなかった)[55][56]。, 後述のE・F家乗っ取り事件のさなかである2011年9月11日に、当時、被害者が居住していたワンルームマンションで、主犯女Xらによる飲食制限などの虐待や暴行を受けた末に死亡したとされる。遺体はドラム缶にコンクリート詰めにされ、主犯女Xの内縁の夫Qが借りていた貸倉庫に放置された。2011年11月に逮捕者の供述に基づき、遺体が発見される。, この事件では、主犯女X、主犯女Xの義理のいとこ男性T、E家父(被害者の次女の元夫)、F家長女(被害者の長女)、E家母(被害者の次女)ら5名が死体遺棄容疑で逮捕、同罪で起訴されている[57]。さらに、主犯女X、E家父(被害者の次女の元夫)、E家母(被害者の次女)、F家長女(被害者の長女)ら4名が殺人と監禁容疑で逮捕されたが、殺人を裏付ける十分な証拠がないとして殺人罪の適用は見送られ、傷害致死と監禁罪で起訴されている[58]。, この事件での裁判が行われているが、これについては後述する(F家母死亡・死体遺棄事件裁判を参照)。, 2010年2月から2012年4月にわたって、C家長男とC家母の銀行口座から無断で、年金計794万円が引き出されたとされる。, この事件では、D家次女、主犯女Xの義理の妹Pら2名が、2012年8月から10月にかけて、窃盗容疑で逮捕され、同罪で起訴された。主犯女Xの周辺で複数の行方不明者が浮かんだが、身柄拘束されていた主犯女Xや主犯女Xの義理のいとこ男性T以外に事件を知りうる人物への事情聴取は任意捜査では難航していたため、身柄拘束による聴取のための別件逮捕とされている。一連の事件の捜査が進展したのは、この件で逮捕された2名の供述によるところが大きかったとされる[59][7]。2013年3月に2名とも一審で懲役2年の実刑判決を受けている[9]。続報がないので、この判決で確定したものと思われる。, 現在、主犯女Xによる家族乗っ取り事件は、大きく分けて3件確認されている。また、A家母が失踪した1987年頃にも、A家が主犯女Xに乗っ取られた状況だったと思われる節があるが、関係者の多くが死亡しており、情報はほとんど出ていないので、ここでは省略する(A家母失踪事件を参照)。, 3件の家族乗っ取り事件は、細部は違うところもあるが、概ね同じような経過を辿っている。また、家庭崩壊に至った家族は、近所の証言などによれば、いずれも家族仲は決して悪くはなく、大きな問題もない幸せな家族だったということである。, 1998年3月、主犯女Xの遠縁にあたるB家母の姉の葬儀が行われた。その葬儀に関して、参列していた主犯女Xが「段取りが悪い」などとB家母らに難癖をつけてきた。主犯女Xは、B家母や滋賀県や京都府に住んでいたB家母の息子夫婦、B家母の兄らを、頻繁に兵庫県尼崎市内のB家母の家などに集め、問題解決のための会議をさせた。暴力団の存在をほのめかしつつ、威圧的に会議を取り仕切る一方で、けがをした人物の世話をしたり、借金を抱えていた人物の相談に乗るなど、B家親族への影響力を強めていった。, さらに、主犯女Xは、親族らに互いの不満を言い合わせるようになり、やがて親族同士で暴力や虐待を行わせるようになる。最初に矛先となったのはB家母で、叩かれたり、長時間立たされたり、飲食の制限をされるなどの虐待を受けていた。そして、暴力や虐待を加えていたのは、主に息子達で、主犯女Xは指示するのみで、直接手を出すことはなかったという。, B家母の孫(B家母の息子夫婦の子供)らも主犯女Xに呼び出され、しばらくすると、主犯女Xと親しくするようになり、親には反抗的な態度をとるようになった。B家母の息子夫婦らは自身の子供を人質にとられた状態になり、一層、主犯女Xとは隷属的な関係に陥ってしまったのではないかと思われる。, こうして支配を強めていった主犯女Xは、様々なことを口実にして、息子らに退職を強要したり、家を売らせたりもしており、おそらく退職金や家の売却金を奪ったと思われる。ある親族の借金の肩代わりと称して、葬儀トラブルとは無関係の高知市の親類が、主犯女Xらに押しかけられて、やむなく千数百万円を渡したという話もある[60]。, やがて、B家親族らは、兵庫県西宮市にマンションを借り、そこで集団生活をさせられるようになる。また、その頃主犯女Xは、B家母息子夫婦を次々に離婚させ、さらには、孫のうち2名を養子にしている。集団生活から脱走する者も続出したが、その多くは、他の親族らに居場所を発見され、連れ戻されていたという。, B家親族らが、そういった主犯女Xの支配を受けるさなか、2名が不審な死を遂げている。1名はB家母で、1999年3月に病死しているが、日常的に暴力や虐待を受けていたという話もある。もう1名はB家母の長男の長男で、1999年12月に当時軟禁状態だった兵庫県西宮市の高層マンションから飛び降り自殺している[注 2]。, こういった異常な状況に対し、虐待の事実を知った近隣住民が、警察に通報することもあったが、被害者が、主犯女Xによる身内への報復を恐れて、被害を訴えようとしなかった。また、被害者の中には、警察に何度か相談する者もいたが、親族間の揉め事と処理されるなどして、一度も事件化されることはなかった。, そんな警察の対応に業を煮やし、それなら警察に動いてもらうために事件を起こしてやろう、と考えた者がいた。B家母の甥(B家母の兄の息子にあたる人物)である。B家母の甥は主犯女Xに窃盗をやろうと提案した。主犯女Xは、その話に乗り、B家親族らに窃盗をさせるようになった。そして2000年1月、B家母の甥は警察に窃盗行為を告白し、自らも含めて、主犯女XとB家親族らは窃盗容疑で逮捕される。この逮捕により、B家親族らは、主犯女Xから解放されることとなった。ところが、主犯女Xと養子縁組をしていた2名のうち、1名は縁組を解消したが、もう1名はそれ以降も主犯女Xと縁組を解消せずに、最後まで共同生活を続け、一連の事件で殺人罪などで起訴されている(主犯女Xの義理の長男Rの欄を参照)。[61], 2002年頃、経緯は不明だが、C家長男、C家次男と主犯女Xの義理のいとこ男性T(C家長男の元妻の連れ子。※主犯女Xの叔父と養子縁組を結ぶのは2004年で、当時はまだいとこ関係ではない)の3人は、主犯女Xのマンションで共同生活をしていた。2002年11月、C家長男は主犯女Xにより学校用務員の仕事を辞めさせられ、退職金の多くを奪われていた。そして、C家長男が主犯女Xに借金をしていると称して、その返済をめぐって、C家母やC家次女が、金策に追われているらしき様子が確認されている。, 2003年2月、尼崎市の実家に帰省していたD家母(C家母の長女)が高松市の夫(以降、D家父)に泣きながら「迎えにきて」と電話をしてきた。D家父が尼崎に出向くと、主犯女Xから、Tを更正のために預かってくれと頼まれた。Tとは面識があり、少年時代には親しくしていたこともあったが、年頃の娘がいたこともあり、一旦は断ったものの、どうしてもと強く頼まれ、結局、高松市に連れ帰ることになった。しかし、Tは高松市のD家の家で、金銭を要求したり暴れたりしたために手に負えなくなり、数日後にD家父は主犯女Xに、これ以上預かることができないと電話をした。, すると、主犯女Xは、預かることができなかったことに対して怒り、自分の身内やD家母の親族(C家母やC家長男、C家次男、C家次女など)ら10人ほど連れて、高松市の家に押しかけてきた。有無を言わせぬ状況で、家に居座り始め、Tの面倒を見ることができない代償や、C家長男の借金問題を口実に、金を工面するよう求め、D家の親族も集めて会議をさせた。会議では、主犯女Xの指示により、親族同士の暴力や虐待が行われた。主にその対象となったのはC家母だったという。また、当時20歳のD家長女と17歳のD家次女も両親(D家父、D家母)への暴力を強要され、やがて、D家次女は主犯女Xに心酔するようになり、通っていた名門高校を中退した。, D家は、親戚からかき集めるなどして、約2000万円を主犯女Xに渡した。さらに、話し合いの末に、D家父とD家母は離婚することになった。そして、40日程居座った主犯女Xらは尼崎に引きあげた。D家母は、娘2人を連れて尼崎市に転居したが、他の親族らとともに、主犯女Xのもとで生活をしていたようである。またその時期の2003年3月に、主犯女Xの自宅マンションで、C家母が暴行や虐待の末に死亡している。, それから一月ほど経った2003年5月、一人で暮らすD家父のところへ、主犯女Xが「D家母がだらしないから迎えにこい」と、電話をかけてきた。D家父が尼崎に出向いて、D家母を高松に連れて帰ると、その直後に主犯女XがD家長女とD家次女を伴い、やってきた。そして、尼崎で主犯女Xに挨拶をしていなかったということで、D家長女とD家次女が両親を責めて暴行を加えた。さらに、主犯女Xは、再び身内やT、そしてC家の親族を高松に呼び寄せ、D家に居座り始めた。, 以前と同じように、金銭を要求され、D家父やD家母への暴力、虐待も行われた。暴力を振るっていたのは、主に娘やTだったという。D家父の兄が心配して来てくれたが、軟禁状態にされ、しばらくすると、主犯女Xの指示で、弟のD家父に暴力を振るうようになっていった。, こうした状況に対して、被害者やその親族、近隣住民らからの警察への通報、相談は合計36回あったが、主に暴力を振るっていたのが、娘ら身内であることから、被害届を出すのに消極的だったり、また、金銭問題などは親族間の問題として、いずれも事件化されることはなかった。, 2003年8月、D家父は監視の隙をついて、D家母とD家長女を逃がしたが、D家長女は途中で発見され、連れ戻されてしまった。以降、さらにD家父への暴力は酷くなり、身の危険を感じたD家父は一旦、家を離れることを決意し、9月に家を出て、親類宅などに避難した。標的を失った主犯女Xらが、娘らを解放して、尼崎に戻るのではないかと意図しての行動だったが、しばらくしてから戻ってくると、家はもぬけの殻になっていた。10月頃に主犯女Xらが尼崎に引き上げた際に、娘や兄も連れ帰っていた[62]。, 2009年4月、主犯女Xが「孫の乗ったベビーカーが車両のドアに挟まれた」と鉄道会社にクレームをつけた。これに対応したのが、当時その会社に勤めていたE家父だった。謝罪のため、E家父は上司と一緒に、何度も主犯女Xの自宅マンションに足を運んだ。主犯女Xは、話し合いの場に、主犯女Xの義理のいとこ男性Tを同席させ、「この子は元ヤクザ。怒らせると何するかわからんで」と脅かす一方で、E家父が話し合い中に一度も時計を見なかったことを褒めるなどして、徐々にE家父を取り込んでいった。やがて、E家父は、家族や将来の夢などプライベートな話を主犯女Xにするようになり、妻(E家母)や2人の娘とともに、家族ぐるみで付き合うようになった。, しかし、主犯女XはE家父の日頃から抱いていた喫茶店を開きたいという夢を聞き出すと、E家父にその夢を実現させる為として執拗に退職を迫るようになった。主犯女Xらに会社にまで乗り込まれるなどされて、2010年4月にE家父は退職するに至ってしまった。その後も主犯女XのE家への過剰な干渉は続き、何かにかこつけては、E家父やE家母を頻繁に呼び出した。そして、E家父が事前の約束を破って競馬をしていたことや、浮気話をE家母から聞いた主犯女Xは、二人に離婚を迫るようになった。そのことで、E家夫婦家族やF家母が住んでいた尼崎市内の二世帯住宅にF家母(E家母の実母)やF家長女(E家母の姉)、E家父の親族らも集められ、家族会議が開かれた。主犯女Xが会議を取り仕切り、2010年11月に二人は離婚する。, なおも、主犯女Xの干渉は続いた。E家父を主犯女Xの自宅マンションに隣接するワンルームマンションに引っ越させ、さらに、離婚のことで近所に変な噂がたっていると理由づけて、二世帯住宅に住んでいたE家母や子供達そしてF家母を転居させた。そして、再び親族らを集め、子供の養育問題について家族会議を開かせた。家族会議は連日、徹夜で開かれることもあった。会議では、些細なことで、E家父やE家母が吊し上げられ、時には、飲食の制限などの虐待や、親族同士で暴力を振るわせることもあった。また、この会議では、親族関係にない主犯女XやTも、E家父らに暴力を振るうことがあったという。そうしているうちに、2011年初、当時小学6年生と小学4年生だった2人の娘は、主犯女Xに懐き、主犯女Xの自宅マンションで暮らすようになり、両親を敬遠するようになっていた。, 2011年6月、東京の親類のところへ身を隠していたF家母が連れ戻された。E家父のワンルームマンションでE家父、E家母、F家長女、F家母、そしてE家父の次女ら5人で共同生活をさせ、子供の養育費の捻出や二世帯住宅の処分などについて話し合いをさせた。E家父の長女だけは、主犯女Xに優遇され、主犯女Xの自宅マンションで起居した。, 睡眠や食事、トイレは主犯女Xの許可が必要になり、それを守らなかったり、家族会議の発言内容次第で、他の親族や主犯女Xらに暴力を振るわれた。やがて、虐待されている者同士で互いを監視するような状況になったという。そして、F家母に暴力や虐待が集中するようになり、2011年9月11日に死亡する。遺体は、E家父とTでドラム缶にコンクリート詰めにされ、貸倉庫に放置された。, F家母の死亡後は、F家長女に暴力が集中するようになった。10月30日未明、車の中で主犯女XやE家父から何度も顔を殴られたり、タバコの火を押し付けられるなどの激しい暴力を受け、手足をテープで縛られ、ワンルームマンションに閉じ込められた。玄関には内鍵がかけられており、その開錠番号は知らなかった。「このままでは殺される」と確信したF家長女は、寝入っている監視役のE家父の隙をうかがい、手足のテープを噛み切って、2階の窓から飛び降り逃走した。そして、大阪市内のホテルに数日間宿泊し、11月3日に大阪市内の交番に駆け込んだ。自身が受けた暴力や、F家母が死亡したことを警察に話し、話に信憑性があると判断した大阪府警は兵庫県警に連絡した。, 一方、F家長女の逃走後、事件の発覚を恐れた主犯女Xは、全ての罪をなすりつけるために、E家父に遺書を書かせ、E家母と次女とともに、車で海に飛び込み自殺をさせようとしていた。11月4日夕刻、E家父とE家母は、自殺を決意し、次女と尼崎市内のスーパーの駐車場に止めた車の中にいた。並んで止めた車には、自殺を見届けるために主犯女XとTがいた。そこへ、行方を捜していた兵庫県警が駆けつけ、間一髪のところで3人を保護した。そして、主犯女XとE家父は、F家長女への傷害容疑で逮捕された[62]。, この一連の事件では、特に前述の3件の家族乗っ取り事件で、被害者やその親族、近隣住民など、合計約50件にものぼる警察への通報や相談があったが、その多くは、身内同士の金銭トラブルや暴行などの事案ということで、事件性がない、などとして適切な対応がとられることはなかった。, 一連の事件発覚後にその点が問題視され、香川県警と兵庫県警が当時の警察対応について検証し、不適切なところもあったことを認め、関係者に謝罪している[90][91]。, 一連の事件発覚後の2012年10月下旬、主犯女Xとする顔写真が複数のテレビや新聞雑誌などで報道されたが、後に別人だと判明し、謝罪や訂正が行われた[92][93]。, その後、2012年11月7日に兵庫県警が主犯女Xの顔写真を報道各社に公開したが、その際の説明では「顔写真の公開によって、新たな被害申告や情報提供につながる可能性がある。今回は例外的なケース」「間違って報じられた方への名誉の回復にもなると考えた」と、誤報道問題を写真公開した理由の一つに挙げている[94]。, また、TBSではD家次女として事件と無関係の別人の顔写真を一時期報道していたことがあり、謝罪している[95]。, 2012年12月12日午前6時20分頃、兵庫県警本部の留置所にて、主犯女Xが布団内で長袖Tシャツを首に巻きつけ、自殺を図っているのが発見され、病院に搬送後、死亡が確認された[96]。, 主犯女Xは、一連の事件が発覚した2012年10月以降、弁護団や留置係の警察官らに「生きていても意味がない」「死にたい。どうすれば死ねるのか」などと自殺をほのめかす発言を複数回していたという[97][98]。逮捕後、主犯とされる容疑者が死亡したことにより、この事件の真相解明は極めて困難な状況になったと言える。, なお、主犯女Xの遺体を引き取る親族はおらず、2012年12月19日に神戸市によって火葬されている[99]。, 以下の出典において、記事名に事件当事者の実名が使われている場合、この箇所を本記事で呼称されている仮名とする, 名の死亡時期は、太田出版「家族喰い――尼崎連続変死事件の真相」より。一方、神戸新聞2012年11月20~22日「尼崎連続変死事件の闇 乗っ取られた家族Ⅱ」では、B家母が1999年9月、B家母の長男の長男は1999年2月に死亡、とある。「家族喰い―」では、特定できる被害者が具体的に証言しているので、ここでは、こちらを採用する。, 太田出版「家族喰い――尼崎連続変死事件の真相」、神戸新聞2012年11月20~22日「尼崎連続変死事件の闇 乗っ取られた家族Ⅱ」などを基に構成, 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